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蛤 はまぐり
~生涯、一人の人に添い遂げ仲の良い夫婦になれますように~
3月3日はひなまつり。
桃の節句とも言われ女の子が健康的に成長し、幸せを願う日本伝統の行事です。
今回はひなまつりの定番はまぐりについてご紹介します。
目次
はまぐりってどんな貝?
◆はまぐりの由来
形が栗に似ていることから浜栗
また、浜の小石(グリと呼ぶ)のような貝との説があります。
◆旬は冬から春先
貝は初夏に産卵期を迎える事が多く、産卵に向けて栄養を蓄える時期である
3~4月が美味しいとされています。
◆ひなまつりとの関係
ひなまつりの定番として、はまぐりのお吸い物を思い浮かべる方は少なくないのではないでしょうか。
実は、はまぐりの貝殻に大きな関係性があります。はまぐりの貝殻は、対になっている貝同士でないとキレイに合わさりません。
このことにより、仲の良い夫婦の象徴として知られるようになり、生涯一人の人に添い遂げ、仲の良い夫婦になれますようにという願いが込められるようになりました。
はまぐり調理をする前に
♦砂抜きと塩抜き
はまぐりは海の砂地や浅瀬の砂中に生息し、呼吸や食事の際に砂も吸い込みます。
体内に砂を持った状態の貝は食味が良くないため、美味しく食べるために砂抜きがとても重要です。
貝の生育環境に合わせ、ストレスなく呼吸させることで正しい砂抜きが可能です。
用意するもの
・平らな容器 ※吐いて落ちた水底の砂を吸わせないためにザルを使うと更に良いです。
・水(20℃前後が適温)※お湯を使用すると貝が弱まります。
・食塩
・アルミホイルや新聞誌 ※覆い被せて砂の中にいるような暗い環境にします。
手順
【砂抜き】
①海水と同じ濃度の食塩水を作ります。※海水は同じ塩分濃度の食塩水。(約3%)
水500mlの場合、約大さじ1杯です。
②真水で貝を洗い、表面の汚れをとります。
③平らな容器に貝を重ならないように広げ、貝の表面が少し出る程度の①を入れます。
④アルミホイルや新聞紙を軽く覆いかぶせ、暗い環境で1~2時間ほど置きます。
密閉せずに酸素を取り込みやすい状況にします。貝同士をこすり合わせてよく洗います。
【塩抜き】
食べた時の塩辛さを軽減させます。
塩水を捨て30分ほど暗い環境で放置することで、貝が砂抜き時に吸った塩分を吐かせます。
加熱調理について
♦はまぐりはなぜ加熱すると開くの?
生きている貝は貝柱の力で貝殻が閉じています。
貝柱はたんぱく質で出来た筋肉で、貝殻の上下にくっついているという構造です。
加熱すると貝が開くのは、タンパク質が変成し貝柱の力が弱まることで殻から離れるためです。
熱した鉄板に手を置くと熱くて勢いよく手離すようなイメージです。
加熱不十分、または貝が最初から死んでしまっているものは開きません。
♦はまぐりのお吸い物は水から貝を入れる?沸騰してから?
どちらでも調理は可能!!
【水から】
水からの加熱で貝が開くまで中火にかけると貝のうまみが汁に溶け出します。
加熱し続けると身が固くなるため、貝が開いたらすぐに火を止めることが大切です。
【沸騰してから】
沸騰したお湯からの加熱はタンパク質が固まるので、貝の中に旨みを閉じ込めることができます。
熱で身が固まり殻から剥がれやすくなります。シジミのような小さい貝にはおすすめです。
どちらからでも調理は可能ですが、大きな貝で汁のうまみごと味わいたなら水から調理し、
火の通りやすい小さな貝は高温の状態から調理したほうが良いとされています。
バター焼きや酒蒸しなどは高温で一気に調理することが納得いきますね!
このように料理によって温度変化を使い分けることをおすすめします!
レトルトや冷凍はまぐりの調理方法
♦凍ったまま熱いお湯で貝柱に良く熱を通すこと!
鮮度の良い状態で冷凍すると貝は死んでしまいますが、貝柱のタンパク質は変化しません。
レトルトの場合、冷凍後に容器に入れて熱と圧力をかけられているため、
急激な温度変化により貝の口が開きます。
したがって、レトルトや冷凍のものはそのまま水からではなく、
沸騰した湯から一煮立ちするまで加熱すると貝柱の熱変性によって殻が開きます。
魚屋が語るポイント
はまぐりやあさりの選び方ですがパックで売られているものが多く、
実際に何を見て購入するのがわかりづらいと思われます。
1、貝のひだに触れると動く。
2、異臭がしない。
3、貝の口がしっかりしまっている。
1と2はパックだと判別できないので3をよく見て、殻頂と呼ばれる蝶番の部分が
破損していないものを選びます。
魚屋さんは割れている貝や砂だらけの貝は取り除く努力はしています。
まれにパック内で貝同士がぶつかったりした衝撃で殻が割れていたり傷ついてしまう事もあります。
このような貝は開きにくくなる可能性があります。
また、包装パックの底に砂が多く吐き出されているものはすごく砂を噛んでいるものか、
貝が死んでしまって貝殻の中に砂だけが詰まっている可能性があります。
はまぐりは、ひな祭りのお吸い物のイメージがありますが焼いても美味しいです。
焼く時に汁が流れて旨味成分が抜けてしまう事があります。
旨味成分を逃がさない為にアルミホイルで貝を包み、オーブンやフライパンで火を通して、
グツグツしてアルミが膨らんできたら火を止めて、
ゆっくりと開ければ汁をこぼさずに召し上がれます。
※ヤケドに注意
上記の1と2に問題なければ、傷がある貝は加熱の前にスプーンで殻を開けてしまってもいいかもしれません。
貝殻は鋭いので気を付けてください。貝を触った後は良く手を洗う事が大事です。
参考資料
農林水産省:消費者の部屋(令和4年3月)
購入した殻付きの冷凍ハマグリを加熱調理したが口が開かなかった。生の貝は死んでいると口が開かないが、なぜ冷凍の貝は死んでいるのに加熱すると口を開くのか。https://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/2203/02.html
文章構成:東信水産 広報課
編集 :東信水産 商品企画部